近年ストレス社会ということがいわれ、「過労によるストレスから自殺」してしまったり、「過労死」してしまうという悲しいニュースを耳にすることがあります。
そういった精神的な疾患は近年、増加傾向にあるといわれます。
特に精神病であるという診断を受けたことがなくても、日によって気分が乗らなかったり、憂鬱な気分になることは多くの方が経験したことがあると思います。
筋トレには体を鍛えてくれることはもちろん、精神面にも好影響をもたらしてくれることがわかっています。
私も精神的にきつく、仕事に行くのがいやになったことが何度かあります。
そんなうつ病に対して筋トレがもたらしてくれる効果を詳しくみていきたいと思います。
目次
うつ病とは
うつ病の概要
うつ病とは精神的ストレスや身体的ストレスが重なり、様々な理由から脳の機能障害が起きている状態です。
「憂うつな気分になっている」「気分が沈んでいる」などと表現される症状を抑うつ気分といいます。
抑うつ状態とは抑うつ気分が強い状態のことをいいます。
うつという言葉が日常的にでよく用いられますが、医学的には抑うつ状態という用語を用いることが多いようです。
このようなうつ状態がある程度以上、重症である時うつ病と呼ばれます。
夜なかなか寝付けない、食欲がわかない、一日中気分が乗らない、何をしても楽しくないといったことが続いている場合、うつ病の可能性があります。
ものの見方や考え方がネガティブになり、自分に対して苛立ったり、自己を否定をしてしまいます。
そのため通常なら乗り越えられるようなストレスも、より気分が落ち込み、さらに何もやる気が起きないという状況に陥ります。
うつ病の患者数は?
厚生労働省が実施している患者調査によると、
とされています。
「近年うつ病が増えた」といわれることがありますが、数字の解釈には注意が必要になります。
うつ病は検査などで明確に診断できる疾患ではありません。
診断基準などの変更によって、患者数に大きな差がでます。
最近のうつ病の増加は本当に増加しているのか、うつ病という診断方法の違いの影響が関与しているのかは、十分注意する必要があります。
また近年、増加しているとういう背景にはうつ病という言葉の認知が広まってきていることや、ストレス社会の影響、経済的な環境の変化があることが考えられます。
うつ病の原因と分類
原因
実はうつ病の原因ははっきりとわかっていません。
ただ脳の神経の伝達物質が悪くなっていることや、身体的ストレスや精神的ストレスが関与しています。
それに遺伝的な要因も考えられることから、うつ病は様々な要因が絡み合って発症すると考えられています。
分類
身体因性の要因
・アルツハイマー型認知症
・脳血管障害
・妊娠、出産、更年期などのホルモンバランスの変化
・感染症、甲状腺機能低下、癌などの疾患
心因的の要因
・幼少期の辛い体験や経験
・人間関係
・夫婦関係
・進学や就職、転勤など環境の変化
・育児からくるストレス
セロトニンとは
脳神経系に存在する神経伝達物質がセロトニンです。
セロトニンは、体内のアミノ酸の一種であるトリプトファンという栄養素を取り入れることで合成される神経伝達物質です。
トリプトファンが腸で取り込まれたあと、血液中を循環し、腸や脳などトリプトファン水酸化酵素という酵素をもった細胞によってセロトニンが合成されます。
代表的な神経伝達物質にノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニンがあります。
ノルアドレナリンは怒りや興奮などの感情を司り、ドーパミンは意欲や好奇心などの感情を司りますが、これらの暴走を抑えて、心のバランスを保ち精神を安定させる役割を担っているのがセロトニンです。
ストレスなどが原因でセロトニンの不足が生じると精神の安定が保てなくなり、うつ病や不眠症などになりやすくなります。
睡眠中はセロトニンの分泌が抑制されます。
しかし朝が近づくにつれて徐々に放出され、日光に当たるとさらに効果的です。
日光が網膜に入るとセロトニン神経が刺激され、セロトニンの分泌が活発になるのです。
セロトニンの分泌により血圧や呼吸、心拍が活動的になるので、目が覚めて意識がはっきりしていきます。太陽の光を浴びるようにしましょう。
また睡眠や生体リズム、体温調節などにも関与しています。
さらにセロトニンには痛みを緩和する働きもあります。
痛みは大脳皮質の体性感覚野という部分で感知しています。
セロトニンは大脳皮質に痛みを伝達する痛覚伝導路を抑制する働きがあります。
そのため脳内でセロトニンが分泌されると痛みが緩和されるのです。
筋トレとセロトニンの関係
まずうつ病や統合失調症のような精神疾患の原因と考えれている物質にキヌレニンというアミノ酸があります。
先ほどお伝えしたトリプトファンはセロトニンに合成される場合と、このキヌアレンに合成される場合があります。
筋トレにより筋肉へ刺激が加わることで筋肉中に生まれるPGC-1α1というタンパク質から、キヌレニンを分解する酵素であるキヌレニンアミノトランスフェラーゼが誘導されていることがわかっています。
この発見から筋トレや運動をすると、精神疾患の原因物質の可能性があるキヌレニンが分解されセロトニンの分泌が増えるのではないかといわれています。
またストレスを受けると脳の前頭前野、海馬などが萎縮してしまいます。
そうすると脳由来神経栄養因子が低下してしまいます。
脳由来神経栄養因子が低下すると、セロトニンやノルアドレナリンなどの分泌も低下し、その結果うつ病を発症するとも考えられています。
そこで筋トレによって脳を活発にさせることで、結果的にセロトニンの分泌を増やしてくれる効果も期待できます。
どのような筋トレが効果的か
おすすめの筋トレは軽い運動で一定の動きを繰り返すのがいいとされています。
例えばスクワットを一定回数繰り返すだけでもいいでしょう。
回数の目安は15回くらいできついと感じる程度の負荷で調整してください。
ただし運動時間は15分以上で、できれば30分は行ってください。
また日光に浴びることも大切です。
できれば日光に当たりながら筋トレできれば最高です。
筋トレでなくてもウォーキングやジョギングなどの有酸素運動も効果的とされているので、筋トレが苦手な方は有酸素運動でも構いません。
筋トレや運動のペースは週に2〜3回を目安に行ってください。
あまり最初から頑張りすぎると、続かなくなってしまうので継続できる負荷でやることをおすすめします。
おすすめの筋トレ
スクワット
まず足を肩幅より少し広めに開きます。
つま先は外側に八の字に開きます。
手は腰に当てるか、胸の前で組むようにしてください。
バランスが取りにくい方は手を前に伸ばしても構いません。
その状態からお尻を下げていきます。
椅子に腰掛けるようなイメージで、腰を落としていくといいでしょう。
その時、つま先とひざ、股関節が一直線になるように注意して下さい。
下げる目安としては太ももが地面と平行になるくらいまでしゃがんでください。
腕立て
両手を肩幅より広く開きます。
肘を90°曲げた時に肘の下に手がくるくらいの手幅が理想です。
下半身は両膝をまっすぐ伸ばして行える方は膝をつかずに伸ばして行いましょう。
それが辛いという方は両膝をついた状態で行ってください。
そのとき体幹は腰が反ったり、お尻が上がり過ぎたりしないように注意しましょう。
その状態から肘をゆっくり曲げ体を下げて行きます。
肘が90°くらいになるようにしましょう。
しっかりと胸を張り、胸の筋肉を伸ばすよう意識してください。
腹筋
仰向けの状態で寝ます。
足を床から浮かした状態で両膝を90°に曲げます。
両手は足の方へ真っ直ぐ伸ばします。
おへそを覗き込むように体を丸めて、両手は踵へタッチするように状態を起こしていきます。
この時、体を起こそうとするあまり首や肩に力が入りすぎて痛くなってしまうことがあるので注意が必要です。
腹直筋にしっかり効いている感じがあれば正しくできている証拠です。
プランク
この種目は体幹のインナーマッスルである腹横筋を鍛えるトレーニングとなります。
やり方は両肘とつま先で体幹を持ち上げて体が一直線になるように保持します。
両方のつま先を閉じて内ももをしめてください。
その時お尻の穴も閉めるとより効果的です。
おへそを持ち上げる意識も大切です。
呼吸は小さくできるだけ腹筋の力が抜けないように気をつけてください。
また腰が反ったり、背中かが丸くなったり、お尻が上がらないように注意してください。
時々この種目で腰が痛くなる方がいますが腹筋の力が抜け腰に力が入っている可能性が高いのでより腹筋を意識してみてください。
それでもダメな場合は両膝をついた状態で行っても構いません。
まとめ
いかがだったでしょうか。
うつ病の精神的疾患はまだ、解明されていない部分もあります。
しかし筋トレによりそういった症状が改善された例も多く報告されており、効果があることは事実です。
また筋トレをすることで、自分自身の体に変化が起き自信がつきます。
男性であればたくましい体、女性であれば綺麗な体というのは多くの方が憧れを抱くことでもあると思います。
そういった体の変化が出ることで、心にも自然と変化が起き不安や悩みなどのネガティブな思考から前向きなポジティブな思考へと変化します。
心身ともに健康な状態を手に入れるためにも、ぜひ筋トレを始めてみてはいかがでしょうか。