【ダイエットしても効果がない!?】不妊治療とダイエットの関係とその理由

不妊治療中で体重が増えてしまった」や、「不妊治療が原因で痩せない」ということでお悩みの方も多いと思います。

女性であれば、不妊治療中といえど太りたくないというのが本音かと思います。

しかし不妊治療中のダイエットや、果たして本当に不妊治療で太ってしまうのかなど疑問な点は多いかと思います。

今回はそんな疑問を解消できるように、不妊治療と体重の関係を詳しくみていきたいと思います。

不妊症とは

そもそも不妊症とは何か定義があるのでしょうか。

不妊(症) infertility, (sterility)

生殖年齢の男女が妊娠を希望し,ある一定期間,避妊することなく通常の性交を継続的に行っているにもかかわらず、妊娠の成立をみない場合を不妊という.その一定期間については1年というのが一般的である.なお,妊娠のために医学的介入が必要な場合は期間を問わない。

と日本産科婦人科学会のHPで公表されています。

しかし、女性に排卵がなかったり、子宮内膜症を合併していたり、過去に骨盤腹膜炎などにかかったことがあったりすると妊娠しにくいことが分かっています。

このような場合は、上記の定義を満たさなくても「不妊かもしれない」と考えて検査や治療を受けた方が良いこともあります。

また男女とも加齢により妊娠しにくくなることからも、治療を先送りしてしまい成果が下がるリスクを考えると、一定期間を待たずできるだけ早期に治療したほうが良いでしょう。

また近年では子供を作りたいと考える年齢が上昇していることもあり、不妊の悩みを抱える夫婦の割合は増えているともいわれています。

さらに不妊は女性側の問題と思われがちですが、実は男性側に問題がある場合も多くその割合は半々ともいわれています。

女性側の問題としては…

排卵因子

通常の健康な状態であれば、月経の約2週間前に「排卵」が起こります。月経不順の場合、出血があっても排卵がなければ妊娠は起こりません。原因としては極度の肥満や痩せ、男性ホルモンが高くなるホルモンのバランス異常(多嚢胞性卵巣症候群)などがあげられます。

卵管因子

卵管は精子が卵子に向かい、受精した卵が子宮に戻るための通路です。この通路が炎症や癒着によって詰まることにより起こります。原因としては卵管炎や子宮内膜症、クラミジア感染症になどがあげられます。病変によっては無症状のものもあるので注意が必要です。

頸管因子

子宮頸管は子宮の出口を閉めている筒状の部分になります。排卵が近づくとその筒状の内部を満たす粘液が精子を通しやい状態に変化します。しかしこの粘液がうまく変化しなかったり、分泌が少なかったりすると妊娠が起きにくくなります。

免疫因子

免疫とは体外からのウイルスや細菌から身を守るために備わった仕組みです。しかしこの免疫が精子を攻撃してしまうことがあり妊娠を妨げてしまいます。このように精子を攻撃する抗体を抗精子抗体といいます。

子宮因子

子宮の問題としては、子宮筋腫や子宮内膜の血行不良、子宮内部の癒着がある場合などがあります。

男性側の問題としては…

造精機能障害

なんらかの理由によって精子の数が少なかったり、作られなかったり、あるいは精子の状態が悪いと妊娠しにくくなります。

性機能障害

勃起障害(ED)や膣内射精障害など、正常に性交で射精できないものをいいます。ストレスや不規則な食事、お酒の飲み過ぎや喫煙、運動不足など生活習慣からくるものが多いです。また糖尿病や高血圧、脂質異常症でもリスクは高まります。

精路通過障害

精子の通路がなんらかの問題によって通れなくなっているものをいいます。最も多いのは精管の問題です。原因としては精巣や精管の炎症や先天的に生まれつき精管がないという人もいます。

不妊治療とは

不妊治療と一言にいっても方法は様々です。

また治療の段階も分かれているので、段階によって治療法も異なります。

治療の段階は大きく分けて3つに分けられます。

タイミング療法

不妊治療の最初の段階で行われる方法です。

排卵日を予測して性交のタイミングを指導することからタイミング療法と呼ばれます。

また排卵誘発剤で排卵を起こす場合や人工授精を行なうときもタイミング療法が基本となります。
排卵日を予測する方法を紹介します。

基礎体温を測る

過去の傾向をふまえて、排卵日を予測します。低温~高温への移行期に排卵していると考えられているのでそのタイミングを見計らいます。

子宮頸管の粘液の分泌量

排卵が近くなると卵胞ホルモンの働きにより子宮頸管の粘液が増加します。 頸管粘液は精子が膣に侵入を助ける役割があります。 

尿中血中LH検査

尿中のLHサージの量を尿検査にて排卵の予測をするものです。血中LHサージのピークから10〜12時間で排卵する、血中LHサージと尿中LHサージの差はわずか数時間なため尿中LHサージを測定し最も発色した日から2日以内に排卵が起こる確率は90%以上とされています。

卵胞のモニタリング

卵胞の直径が20mmを超えると排卵が近いといわれています。 一日2mmずつ卵胞径が増大し、排卵前日には約22mmの大きさに成長します。

人工授精

排卵のタイミングに合わせて精子を人工的に子宮内に送り込み自然な妊娠を期待する方法です。

タイミングはタイミング療法の時と同様に行います。

人工授精は女性側の卵管がきちんと通っていることが条件になります。

精子自体の運動性が悪かったり、子宮頸管の粘液の分泌が少ない場合に行われます。

排卵日に合わせて、精子を採取します。その精子を密度勾配法という方法で洗浄し、元気な精子だけを取り出します。

最後に排卵日に合わせて、精子を子宮の中に注入します。

排卵が正常にこない場合は、排卵誘発剤を使用します。

排卵誘発剤は、最初は副作用の軽い飲み薬から始め、効果がなければ注射に切り替えます。

生殖補助医療(体外受精・顕微授精)

タイミング療法や人工授精で妊娠できなかった場合は体外受精や顕微授精などの生殖補助医療が適応になります。

排卵誘発剤で多くの卵胞を育てます。

膣から細い針を穿刺して卵巣から卵子を取り出します。

体外で精子と受精させ、数日後に子宮内に受精卵(胚)を戻します。

精子と卵子が自然に受精しない場合や精子数が極端に少ない場合は、細い針で精子を卵子の中に直接、注入する顕微授精を行います。

また一度の体外受精で多くの受精卵が獲得できた場合は余剰胚を凍結して保存します。

それを妊娠しなかった場合や次の子どもを望む場合に戻す方法があります。

これを凍結胚移植といいます。

不妊治療で体重は増える?

不妊治療すると太るという人がいますが、これは半分正解で半分は間違いです。

不妊治療ではホルモン剤を使用するため、ホルモンの影響で太ったという人もいますが、ホルモンの影響によるストレスで食べ過ぎてしまって太ったり、食欲が過剰に出て太ってしますことがあります。

またホルモン剤の影響でむくみが出てしまうこともあるため、太ったように見えてむくんでいるだけということもあります。

その反面、不妊治療をして体重が減ったという方も中に入るので、体重が増えるというには自己管理によるところも影響しているようです。

不妊治療中にダイエットしてもいい?

では不妊治療中にダイエットしてもダイエットしても良いのでしょうか。

結論から言うと不妊治療中のダイエットは行っても大丈夫です。

むしろ肥満が原因で不妊になっている可能性もあるので、そういった場合は逆にダイエットしたほうがいいでしょう。

体重が増えると、男性ホルモンの数値が上がってしまいます。月経不順や、ひどい場合は無月経になってしまうこともあります。

月経がなくなれば排卵もなくなり、妊娠しづらくなってしまいます。

肥満は妊娠しづらいだけでなく、お産にも悪影響を及ぼします。

産道に脂肪がついたままでは難産のリスクがあがります。

帝王切開のなったとしても脂肪が厚いと傷の治りが悪くなってしまい、血栓症など合併症が起こる危険性が増します。

またダイエットする場合でも自己流のダイエットや、2ヶ月で10㎏痩せるような急激なダイエットはやめておきましょう。

そのようなダイエットは必要な栄養素が不十分になり、かえって排卵に悪影響を及ぼします。

さらに体重減少性無月経といって、生理が来なくなってしまうこともあります。

低体重が続くと卵巣が萎縮してくるので、女性にとって痩せすぎも問題になるのです。

基本的な運動と規則正しい食事が大切です。

妊娠しやすい適正な体重とは

適正な体重を知る方法の一つにBMIを測定するという方法があります。

BMIはBody Mass Index(ボディ・マス・インデックス)の略称で体重の肥満度をチェックする方法です。

BMI= 体重kg ÷ (身長m)2で算出されます。

BMIが18.5~25未満の方は正常と判断されます。

BMIが18.5未満の方は痩せすぎです。

BMIが25以上の方は太り過ぎとなるので注意してください。

BMIが30を超えるようなら要注意です。

多嚢胞性卵巣症候群になる危険性が高くなってきます。

まとめ

不妊治療で体重が増えるというのは実際に起こりうることです。

しかしその原因はホルモンが直接関係している場合もあれば、ストレスから食欲を抑えきれずに食べ過ぎていることもあります。

またホルモンの影響からむくみが生じることもあるので、脂肪が蓄積しているのかむくんでいるのかは鑑別が必要です。

不妊治療中でも痩せる方もいることを考えれば、一概に太るということも言えません。

不妊治療中でも適正な体重でなく、肥満が妊娠に悪影響を及ぼしているならダイエットの必要性もでてきます。

この場合でも急激なダイエットは避け、適度な運動と規則正しい食生活を心がけてください。

しっかりと自分の体を見つめ直し、必要に応じてダイエットをしていく必要があります。

ABOUTこの記事をかいた人

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パーソナルトレーニングジム「 The Body Professional 」を経営。小学生から高齢者まで年間延べ2000人のダイエットや体作りをサポート。ダイエットに成功する人が必然的にやっているルールを実践するだけで気付いた時には痩せている。そんな状態を作り出す『ベストスタイルダイエット』を全国に広めるために活動中。ブログ以外でもオンラインでダイエットサポート中。
◆柔道整復師 ◆鍼灸師 ◆パーソナルトレーナー