筋肉を大きくするためには、様々な方法で筋肉に刺激を与えることが重要です。
その中でもPOF法は、一つの筋肉に対して3つのパターンにわけて刺激を与えるトレーニングになります。
一つの部位に対して、1種目のトレーニングから卒業し一つの部位に対して種目数を増やす場合は、このPOF法を意識して取り組んでいただければと思います。
今までに筋肉に感じたことのない、新たな刺激を感じられるでしょう。
では詳しくみていきましょう。
目次
POF法について
POF法とは「Positions Of Flexion」の略です。
このPOF法はアメリカのトレーニングマガジン、アイアンマンの編集者であるスティーブ・ホルマン氏が提案したトレーニングプログラムです。
そのやり方はトレーニング種目を、筋肉にかかる負荷を関節の角度、つまり筋肉の収縮の度合いを3つに分けて負荷をかけるトレーニングのことをいいます。
例えば肘を曲げる動作をした際に、最も負荷のかかる位置は肘が90°に曲がった位置にきたときです。
それより肘が曲がる方にいっても、伸びる方にいってもその負荷は下がっていきます。
これではいつまでたっても、その局面(肘が90°角度)での負荷に対して働く筋繊維ばかりが鍛えられてしまいます。
そこで最も負荷のかかる位置(関節の角度)を変えることによって、いろんな角度から筋肉に刺激を与えることを可能としたのです。
この角度ごとに分けたポジションのことを。
・ストレッチポジション
・コントラクトポジション
・ミッドレンジポジション
と言います。
そしてこのPOF法をお伝えする前に、筋肉の3種類の収縮様式について理解しておく必要があります。
・求心性収縮(コンセントリック)
・遠心性収縮(エキセントリック)
・等尺性収縮(アイソメトリック)
それぞれについてご説明します。
すでに知っている方は、読み飛ばして頂いて結構です。
筋肉の3種類の収縮とは
求心性収縮(コンセントリック)
求心性収縮(コンセントリック)とは筋肉が縮みながら力を発揮する収縮様式のことをいいます。
例えば肘を曲げる動作であれば、上腕二頭筋が縮みながら収縮します。
これをダンベルやバーベルを持って行うと、ダンベルやバーベルが持ち上がってきます。
他の部位でも同様で、胸なら重りを持ち上げる動作、背中なら重りを引く動作などが該当します。
遠心性収縮(エキセントリック)
遠心性収縮(エキセントリック)とは筋肉が伸びながら力を発揮する収縮様式のことをいいます。
先ほどの上腕二頭筋ではダンベルやバーベルが下がっていくときに収縮がかかった状態のことをいいます。
この時の注意点としては、重力に伴って力を入れずにダンベルやバーベルを下ろすと筋肉の収縮は起こらないので、遠心性収縮とはいいません。
自分の筋肉を使って下ろすスピードをコントロールすることが大切です。
他の部位では、胸なら重りを持ち下げる動作、背中なら重り戻す動作などが該当します。
等尺性収縮(アイソメトリック)
等尺性収縮(アイソメトリック)とは筋肉の収縮はあるものの、筋肉の長さが一定のものをいいます。
これはダンベルやバーベルなどの重りを待ったままの状態で、全く動かない状態のことをいいます。
この3種類の収縮様式を理解したうえで、次のPOF法について読んでいただければと思います。
筋肉に異なる刺激を与えるPOF法とは
コントラクトポジション
コントラクトポジションとは筋肉が最も収縮するポジション、すなわち先ほどの求心性収縮(コンセントリック)の際に最も収縮している時に負荷がかかっている状態のことをいいます。
筋肉が最大限収縮することにより、筋肉の内圧が高まります。
筋肉の内圧が高まることで、筋肉中に発生した乳酸や代謝物が溜まります。
その乳酸や代謝物が科学的刺激となって筋肉に刺激を与え、筋肉の成長につながるのです。
また血流を制限することにより、いわゆるパンプアップさせた状態になります。(パンプアップについての詳しい記事はこちら)
筋肉の盛り上がりや、筋肉のかたちを形成するのに効果的といわれています。
種目セットの組み方としては。
・3〜5セット
・12〜20レップ
・1〜2分インターバル
ストレッチポジション
ストレッチポジションとは筋肉がストレッチ(伸張)された状態で最も負荷がかかるトレーニングです。
ここでいうストレッチとは、遠心性収縮(エキセントリック)のことをいいます。
このエキセントリック収縮の際に、力学的な負荷をかけることにより筋線維に微細な損傷が起こります。
筋線維に微細な損傷が起こることにより、トレーニング後の超回復の際にタンパク質の合成が促されます。
筋肥大を目的とするなら、最も効果が期待できる収縮様式になります。
種目セットの組み方としては。
・3〜5セット
・8〜12レップ
・1〜2分インターバル
ミッドレンジポジション
ミッドレンジポジションとはちょうど中間で負荷が最も高くなる局面をいいます。
コントラクトポジションとストレッチポジションの中間付近で最も力を発揮します。
最も力が発揮できる局面なので、他のどのポジションよりも高重量を扱うことができるのが特徴です。
高重量による物理的刺激と神経系を鍛えることにより、筋力をつけることが可能です。
トレーニング初心者で、体つきはそれほど変化がないのにも関わらず、以前に比べ重量がアップしている場合は、この神経系が発達している証拠です。
またミッドレンジ種目はトレーニング初心者が一番はじめに習得すべき収縮様式でもあります。
・3〜5セット
・6〜10レップ
・3分インターバル
トレーニングの順番
この3種類のトレーニングを知ったからといって、とりあえず3種類をやればいいという訳ではありません。
順番を意識します。
まず1番に持ってくる種目としては、ミッドレンジ種目をします。
胸であればベンチプレス、上腕二頭筋であればアームカールという感じです。
理由としてはいちばん高重量が扱える種目だからです。
高重量を扱うのは、いちばん元気な1番目に待ってきてください。
そして2番目がストレッチ種目です。
高重量でトレーニングした後、ストレッチ種目を行うことで筋繊維に微細な損傷が起こりやすくなります。
しっかりとターゲット部位にストレッチをかけ、負荷が抜けないように注意してください。
ストレッチをかける際はゆっくりと行うのが大切です。
胸であればダンベルフライ、上腕二頭筋であればインクラインカールにあたります。
そして最後がコントラクト種目です。
このコントラクト種目では軽めの重量で構わないので、パンプアップさせることが最大の目的です。
しっかりと筋肉を最大収縮させます。
その後、すぐに緩めるのではなく、少し止めるように意識してみてください。
筋肉を固めるようにポーズをとるようなイメージです。
種目の例としては、胸ならペックフライ、上腕二頭筋ならコンセントレーションカールがこれにあたります。
また種目によってはストレッチ種目とコントラクト種目を同時にできるものもあります。
ケーブルでのケーブルクロスオーバーなどはストレッチもかけれますし、コントラクトポジションでの収縮を意識すればコントラクト種目としても使えます。
具体例
胸の日
ダンベルプレス→ダンベルフライ→ケーブルクロスオーバー
肩の日
ショルダープレス→インクラインサイドレイズ→サイドレイズ
腕の日(上腕二頭筋)
バーベルアームカール→インクラインアームカール→コンセントレーションアームカール
腕の日(上腕三頭筋)
ナローベンチプレス→ライイングエクステンション→プルダウン
背中の日
ベントオーバーロウ→ワンハンドダンベルロウ→シーテッドロウ
足の日(大腿四頭筋)
スクワット→シッシースクワット→レッグエクステンション
足の日(ハムストリング)
スクワット→スティッフレッグデッドリフト→レッグカール
筋トレの効果的テクニックPOF法のまとめ
筋トレで大切なことは筋肉に対して常に刺激を与え続けることです。
筋トレの刺激に慣れてしまっては筋肉の成長は止まってしまいます。
このPOF法は3つの角度から違った刺激を、筋肉に与えることで効果的に筋肉を成長させることが期待できます。
是非このPOF法を習得し、さらなる筋力アップに繋げていただければと思います。