筋トレをしている方ならアナボリックステロイドの存在は聞いたことがあると思います。
また中には使ってみようかと考えている方や、すでに使ったことがあるという方もいるでしょう。
アナボリックステロイドとは筋肉増強剤として使用されることが多く、いわゆるドーピングです
世間一般ではアナボリックステロイドを使用することは禁止されており、オリンピックなどでは厳しくチェックされ違反を犯した者はそれなりの処罰を受けることになります。
しかし、ボディビルのコンテストでは建前上は禁止とされていても暗黙の了解としてドーピングをしている選手たちが出場しています。
このような大会ではドーピングは当然の行為で、むしろドーピングをしていなければこのような大会で争うことは不可能です。
そこで今回はそのアナボリックステロイドがなぜいけないのか、アナボリックステロイドにはどのような副作用があるのかなどをまとめました。
「アナボリックステロイドの使用を考えている」
「すでにアナボリックステロイドを使っている」
という方は、今一度アナボリックステロイド、ドーピングについて考えてみていただければと思います。
目次
アナボリックステロイドとは
アナボリックステロイドは、テストステロンいわゆる男性ホルモン様の構造で筋肉増強剤として使用されます。
このステロイドには男性ホルモンとしての働きである筋肉中のタンパク質の合成を促します。
ステロイドを使用し、適切な食事と運動を行うことで無駄な脂肪をつけずに筋肉だけを増加させることが可能となります。
より筋肉をつけたいという願望から、このような禁止薬物に手を出す人は後を絶ちません。
また日本では合法ですので、アナボリックステロイドを使用するのは個人の自由です。
購入しようと思えば、ネット通販で個人輸入すれば容易に手に入ります。
しかし、問題はアナボリックステロイドを使ってドーピング禁止の大会に出場したり、あたかもナチュラル(アナボリックステロイドを使用していない)を装って筋トレを使ったビジネスをすることは、当然ですが許される行為ではありません。
特に筋トレを始めたばかりの初心者がステロイド使用者の筋トレをみて、これをすれば自分もこんな体になれるんだと思ってしまいます。
ステロイドを使うのであれば、あくまでも自己責任の上で自己満足の範囲内でやるべきでしょう。
アナボリックステロイドの副作用
ステロイドは驚くほどの効果を発揮します。
しかしその反面、副作用も恐ろしいのを理解しておきましょう。
肝臓への負担
アナボリックステロイドでは肝臓への負担が大きくなります。
通常ではステロイドを摂取しても肝臓でろ過され無毒化されてしまいます、
しかし、ステロイドはその効果を発揮するため、できるだけ体内に残り続けるように17aアルキル化という加工で作られています。
そのため肝臓への負担は増す一方です。
その結果、肝臓の機能障害へと発展することもあります。
女性化乳房
ステロイドを使用すると男性ホルモンの分泌が促され体内の男性ホルモン濃度が高くなります。
男性ホルモンの濃度が高めると、それに伴い女性ホルモンの分泌も増えます。
体内にはアロマターゼという酵素があり、この酵素が男性ホルモンを女性ホルモンに変換します
この結果、女性ホルモンが増えて乳腺が肥大し脂肪量も増加するので乳頭が肥大します。
初期の症状としては乳頭周囲がヒリヒリした痛みが出たり、痒みや触ると痛みが生じたりします。
一度、女性化乳房を発症してしまうと外科的手術でしか治せなくなってしまいます。
男性ホルモンの分泌低下
ステロイドを使用することで、体内の男性ホルモン濃度が急速に高まります。
そうすると体は男性ホルモンの分泌が必要ないと判断し、分泌を抑制しようとします。
その結果、男性ホルモンの分泌が著しく低下するのです。
そのため性欲が著しく減退したりもします。
心臓の肥大化
心臓自体も大きくなります。
心臓が大きくなることで心臓内の容量が小さくなり、一回拍出量(一回の拍出で送り出すことのできる血液の量)が少なくなります。
このことにより、心拍数が上がりやすくなり心不全のリスクも上がってしまいます。
血圧の上昇、HDLコレステロールの低下、LDLコレステロールの増加が起こり、このような状態でランニングなどの有酸素運動などを行うと血圧や心拍数が上がるため危険といわれています。
内臓の肥大化
ステロイドの影響で内臓の肥大化が起きます。
筋肉量が増えることで、それだけ臓器の働きも必要とされます。
その結果、肝臓や腎臓、粘膜下組織、上皮組織、粘膜固有層、などの内臓を肥大させるのです。
外見の特徴としてはお腹が張り出し、腹筋が横に広がるような形になります。
お腹が出るのを「バブルガット」といい、ボディビルの大会では減点対象にもなっています。
男性型脱毛症の進行
ステロイドには男性型脱毛症を進行させる可能性があります。
男性型脱毛症はジヒドロテストステロンの影響により起こります。
このジヒドロテストステロンは体内に存在する5aリダクターゼという酵素によって男性ホルモンが変換されることによって起こります。
ステロイドの使用によって男性ホルモンが増えると男性型脱毛症が進行する可能性が高くなります。
ニキビなどの肌荒れ
ジヒドロテストステロンにはニキビを引き起こす作用もあります。
先ほどの男性型脱毛症と同様にステロイドの使用によって男性ホルモンが増えるとニキビを引き起こす可能性が高くなります。
無知の状態でステロイドを使うのは危険
ご紹介したようにステロイドの副作用は様々で、出る症状も個人差があります。
その都度、出た症状に対して適切な処置をしなければ取り返しのつかないことにもなりかねません。
ボディビルの有名なYouTuberでもあるリッチピアーナ(RICH PIANA)も正確な死因はわかっていませんが、ステロイドの影響は少なからずあるでしょう。
自分の人生や命を削ってまで、ステロイドを使用しようと思える覚悟があるならそれも一つの人生です。
しかし、その命を削ることによって悲しむ人がいることを忘れてはいけません。
まとめ
アナボリックステロイドは安易な気持ちで使用するものではありません。
またコンテストで勝ちたいからといって使用するとルールを破ることになります。
ステロイドを使うなら、ステロイドを黙認されている団体で勝負しましょう。
そしてどうしても使用したいなら、それなりの覚悟を持って自分自身でステロイドについてしっかりと調べた上で使用するようにしましょう。
何よりも無知で使用するのは危険すぎます。
今一度、何のためにステロイドを使ってみようと考えているのか、果たしてそこまでする必要があるのか考え直してみてくださいね。