乳酸の新常識とは|乳酸が溜まることは悪いことではなかった

かつて乳酸は悪者扱いされていました。

乳酸は疲労物質で、乳酸が溜まると体がだるくなったり、動きが鈍くなるんではないかと言われていました。

しかし、そんな乳酸の本当の働きが少しずつわかってきています。

✔️この記事の内容

「乳酸って一体なに?」
「乳酸って体に悪いものじゃないの?」
「乳酸の役割は?」

などの疑問にお答えしていく内容になっています。

是非この機会に乳酸について正しい知識を身につけてくださいね。

では早速みていきましょう。

乳酸の新常識を解き明かす

乳酸とは

乳酸は脂肪族ヒドロキシ酸という水溶性の有機化合物です。

他にもクエン酸やグリセリン酸、グリコール酸が水溶性の有機化合物に含まれます。

乳酸が溜まるメカニズムは、運動などで筋肉を使った際にエネルギー源となるグルコースが分解された際に乳酸ができます。

そのため乳酸は疲労物質だと考えられていました。

これは筋肉の疲労時に乳酸が溜まっていることが明らかになり、乳酸は疲労物質だという認識が広まったのです。

実は乳酸はエネルギー源だった

肉や魚など様々な食品に乳酸は含まれています。

私たちは普段の食事の中から乳酸を摂取していることになります。

乳酸は糖をエネルギーとして利用する過程でできるものなので、疲労物質ではなくエネルギー源です。

乳酸が発生するのは速筋線維を使うトレーニングなどを行なった時で、そこで発生した乳酸菌が遅筋線維や心筋で使われるのです。

なぜ乳酸が溜まるのか

乳酸がエネルギー源として使われることはご理解いただけたと思います。

ではなぜ乳酸は溜まってしまうのでしょうか。

それはエネルギーを消費するスピードに関係します。

速筋線維を使うトレーニングは解糖系と呼ばれ、代謝のスピードが早くすぐに乳酸を作り出すことになります。

無酸素系の運動では酸素を使う必要がないので、作られるエネルギーは少量ですが短時間でエネルギーを作り出すことが可能です。

逆に有酸素運動では酸素を必要とするので代謝スピードがゆっくりで、無酸素運動に比べエネルギー作るのに時間を要します。

しかしその分エネルギーを多く作り出せるので有酸素運動に有効なのですが、エネルギーの消費がゆっくりなので乳酸が少しづつ蓄積するというわけです。

乳酸は溜まっていてもいいのか

乳酸はエネルギー源であるということをお伝えしました。

では乳酸は溜まれば溜まるほどいいのかと言われるとそうでもありません。

乳酸の血中濃度が高すぎると、体が思うように動かせなくなります。

乳酸を過度に溜めないようにするには

クールダウンなどで有酸素運動を取り入れる

乳酸は有酸素運動を行うことで消費されるので、クールダウンなどで有酸素を取り入れると乳酸が代謝されやすくなります。

ストレッチやマッサージで血行をよくする

血中に溜まった乳酸はストレッチやマッサージによって、血行をよくして流してくれます。

十分な睡眠をとる

睡眠をしっかりとることも乳酸を代謝するうえで大切です。

乳酸と乳酸菌の関連性

乳酸菌は糖をエサにして乳酸を作り出す菌の総称です。

この乳酸も血流にのり肝臓に運ばれ、呼吸によって分解されたり、糖へ再合成されたりします。

乳酸菌から乳酸が作られるという過程のことを乳酸発酵と呼び、トレーニングの際に乳酸を生み出す過程を解糖系と呼ぶことは速筋繊維を使うトレーニングのところでお伝えしました。

このように乳酸と乳酸菌には関連性があるのです。

オリンピック選手も乳酸を意識したトレーニングをしている

例えば水泳のオリンピック選手である萩野公介選手もあえて乳酸を溜めるようなトレーニングをしています。

お伝えしているように速筋繊維を使うことによって乳酸は蓄積されます。

そしてその蓄積された乳酸は遅筋繊維のエネルギーとなるのですが、その遅筋繊維にはミトコンドリアが多く存在し、乳酸はミトコンドリアのエサになります。

そして、さらにトレーニングを続けると乳酸が溜まります。この時、実はミトコンドリアも増えることがわかっています。

ということは、増えたミトコンドリアがさらに乳酸をエサにしエネルギーを量産することができて持久力がアップするという仕組みです。

持久力を上げたいなら乳酸を意識してトレーニングする

荻野選手のようなオリンピック選手が行っているトレーニングを一般的な運動をしている人にも応用することはもちろんできます。

普段から遅筋繊維のミトコンドリアを増やすために、乳酸を増やすようなトレーニングをすればいいのです。

ポイントは少しきついなと感じるところでウォーキングやジョギング、水泳を行うことです。

これを週に4回、1日15分以上行うのが効果的とされています。

15分と聞くと少し大変そうに感じますが、1日15分は連続して行わなくても大丈夫です。

3分行なって休憩を挟み、また3分行うという感じでもいいのです。

これなら体力に自信のない方でも気軽に始められますね。

乳酸の新常識のまとめ

乳酸に関する疑問は解消されたでしょうか。

また乳酸の新たな発見もあったのではないでしょうか。

長年、悪者扱いされてきた乳酸でしたが、体にとって大切なエネルギー源となっていたことがわかっています。

乳酸をうまく使ったトレーニングを行うことで、スポーツのレベルアップや日常的な体力の向上などが期待できます。

この記事が少しでも参考になれば幸いです。

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パーソナルトレーニングジム「 The Body Professional 」を経営。小学生から高齢者まで年間延べ2000人のダイエットや体作りをサポート。ダイエットに成功する人が必然的にやっているルールを実践するだけで気付いた時には痩せている。そんな状態を作り出す『ベストスタイルダイエット』を全国に広めるために活動中。ブログ以外でもオンラインでダイエットサポート中。
◆柔道整復師 ◆鍼灸師 ◆パーソナルトレーナー