「アドレナリンが出ている」という言葉を聞いたり、興奮しているときや緊張状態にある時に実際に使ったことのある方も多いのではないでしょうか。
しかし、このアドレナリンが一体何者か知っていますか?
なんのことかわからないけど、なんとなく使っているという方も多いでしょう。
「そもそもアドレナリンって何?」
「アドレナリンの作用は?」
「アドレナリンを分泌させる方法ってあるの?」
などの疑問にお答えしていきたいと思います。
これまでなんのことかわからずにアドレナリンという言葉を使っていたという方は、ぜひこの機会に覚えておきましょう。
目次
アドレナリンとは?
アドレナリンとは副腎という臓器で作られるホルモンの一つです。
自律神経の一つである交感神経が活発に働くと、このアドレナリンが分泌されます。
アドレナリンは神経伝達物質とも呼ばれ、交感神経が活発になると興奮状態となり想像以上の力を発揮できたりします。
「火事場の馬鹿力」なんていう言葉がありますが、これもアドレナリンによる作用の一種です。
アドレナリンが分泌されると、
・心拍数の増加
・血糖値の上昇
・気管支の拡張
などの作用があります。
ちなみにアドレナリンは興奮や緊張時に分泌されるホルモンですが、その前駆体はドーパミンです。
ドーパミンからノルアドレナリンが生成され、ノルアドレナリンからアドレナリンが生成されます。
ドーパミンについての詳しい記事はこちらを参考にしてください
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アドレナリンが分泌されるタイミングは?
アドレナリンが分泌されるのは、何かの危機に直面した時です。
アドレナリンは闘争か逃走のホルモンとも言われ、本来人間が持つ敵と対峙した時に生き延びるためにはどうすればいいかという究極の選択を迫られた時に、闘うか逃げるかを判断しなくてはならないような時に分泌されます。
現在の日本で生きていく上でこのような状況に陥ることはほとんどないでしょう。
私たちが、生活で直面するアドレナリンが分泌される状況は、
・起こっている時
・興奮している時
・緊張している時
・恐怖を感じた時
・不安を感じた時
・運動している時
などがあげられます。
自律神経とホルモンの違い
自律神経である交感神経は即効性があります。
それに対して、ホルモンは血液を介して全身に広がるため広範囲にわたって作用するのです。
またホルモンは微量でも過剰に分泌されたり、不足してしまったりすると心身に大きな影響を与えます。
このようにホルモンバランスの乱れによって、体の不調を経験したことがある方も多いのではないでしょうか。
ホルモンが体に及ぼす影響はそれほど大きいのです。
アドレナリンの作用とは?
痛みや疲れを感じにくくなる
よくスポーツ選手などの話で聞くのが、「痛みを感じなかった」「疲れを感じなかった」という言葉です。
特に夏の高校野球などで、地区予選を勝ち上がり、そのまま甲子園で決勝戦まで進んだりすると選手には相当な疲労が蓄積されます。
特にピッチャーなどが、何試合も一人で投げ抜いているような状況では、とっくに疲労の限界を迎えているにも関わらず投げ続けることができてしまいます。
これが、いわゆるアドレナリンが分泌されている状態です。
アドレナリンの分泌が多いと一種のマヒのような状態に陥ります。
そのために、大会期間中やシーズン中はなんとかやり過ごすことができても、大会やシーズンが終わった途端にケガで一線を退くことになったりするのです。
ではなぜここまでの作用が得られるのかというと、アドレナリンが分泌され脳内に放出されるとその他の神経伝達物質も一緒になって分泌されます。
そのためアドレナリンだけの効果だけではなく、それ以上の効果が発揮されてしまうのです。
いつも以上の力が発揮される
先ほどの「火事場の馬鹿力」のような現象です。
このままでは死んでしまうというような緊急時に、想像以上の力が発揮されます。
私たち人間は本来持っている力の数十パーセントの力しか発揮していません。
それは、いつも100パーセントの力を使っていると体がもたないからです。
ですので、常に脳がリミッターをかけ体が壊れないように力をセーブしています。
しかし、緊急の時はその時点で生命の危機にあるわけですから、そんな悠長なことを言っている場合ではありません。
ですのでアドレナリンの作用により、血管を広げ、酸素を大量に全身に送り、集中力や注意力をあげ、筋肉内の酸素量を増やして一時的に身体能力をあげることができます。
そすることによって、生命の危機からの脱出を試みる切り札を備えているのです。
血糖値が上がる
アドレナリンが分泌されることによって、筋肉や肝臓に蓄えられているグリコーゲンが分解され血糖値をあげるという作用があります。
これは、血糖値をあげることで頭の回転をよくしたり、集中力やイライラを落ちつかせてくれるような効果があります。
脂肪燃焼によるダイエット効果
アドレナリンは脂肪動員ホルモンとも呼ばれ、アドレナリンが分泌されるとホルモン感受性リパーゼの分泌が促進され脂肪が分解されます。
分解されるということはエネルギーとして消費される状態となるので、ダイエット効果も期待できるのです。
代謝を上げる
アドレナリンの分泌が促進されると、体温が上がり、エネルギー消費が上がります。
その結果、代謝が上がった状態となるのです。
アドレナリンを分泌するには?
筋トレなどの運動をする
運動することはアドレナリンを分泌を促進してくれます。
またアドレナリン以外の神経伝達物質なども放出されます。
その中には、鎮痛作用や幸福感、高揚感なども与えてくれます。
普段から運動する人や、運動をし終わった後に気持ちいいと感じるのはそのためです。
この感覚に慣れてしまうと、一種の中毒のようなもので運動をしないと気が済まないなどのように感じてくることもあります。
これは薬物依存やアルコール依存と違い健康的な運動習慣がついている証拠なので、プラスに捉えるといいでしょう。
ただし健康を害するほどやってしまうのは当然ですが、よくありません。
しっかりと程度を見極めるようにしましょう。
好きな人を作る
好きな人ができると、胸がドキドキしますよね。
これもアドレナリンの作用によるものです。
好きな人と一緒にいたり、声を聞いたりするだけでもアドレナリンが分泌されます。
逆に相手にアドレナリンを出させるよことができれば、向こうもこちらのことを気にかけてくれるということです。
夢や目標を持つ
夢や目標を持つことも、アドレナリンの分泌につながります。
自分の理想をイメージしてください。
海外で暮らすことでもいいですし、高級車に乗ることでも、世界一周旅行でも構いません。
考えただけでワクワクするようなことを、イメージして見てください。
それだけでもアドレナリンが分泌されます。
勝負事をしたり観たりする
自分で勝負事をしてもいいですし、スポーツなどの勝負事を観ても構いません。
格闘技やワールドカップを観ていると興奮してきますよね。
ドキドキハラハラするような展開はアドレナリンを分泌するのに最高の環境です。
アドレナリンのデメリット
ここまでアドレナリンのいいことばかりをみてきましたが、決していことばかりではありません。
次はデメリットをみていきましょう。
不眠症になる
例えば、寝る前に好きな人のことを考えたり、興奮するテレビを観た後、発表会の前日、大切な試合の前日で、なかなか寝付けなかったなんて経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。
これはアドレナリンが過剰に分泌されているか、分泌するタイミングが悪いために起こります。
最低でも寝る1時間前にはそのような興奮したり、緊張したりするようなことは避けましょう。
1日や2日程度なら問題ありませんが、数週間、数ヶ月と続くようなら大変です。
そこから神経疾患に発展する恐れもあります。
攻撃的になる
スポーツで乱闘になったり、些細な言い合いから暴力に発展してしまったりすることは少なくありません。
アドレナリンが分泌されていると、自分でも制御がきかないくらい興奮してしまって攻撃的になることがあります。
その攻撃性をいい結果につなげることができればいいのですが、一歩間違えば大問題に発展してしまいます。
依存性がある
アドレナリンが分泌されている状態は、とてもハイになっている状態です。
ランナーズハイ、ドライバーズハイという言葉があるようにそれをしだすと集中しすぎて、他のことが見えなくなってしまいます。
そしてそれがとても気持ちのいい状態なので、またそれを求めてしまいます。
健康の範囲内であれば問題ないのですが、健康を害するほどにそれを求めてしまうといけません。
人が気持ちいいと感じるものには必ず依存性があるので、健康の範囲内で楽しめるように注意してください。
まとめ
アドレナリンは私たちの身近な存在であることがお分かり頂けたと思います。
またアドレナリンは素晴らしい作用を持つ反面、デメリットも存在します。
しかし、アドレナリンとうまく付き合っていくことができれば私たちの生活はとても快適なものになることは間違いありません。
アドレナリンをコントロールすることはとても難しいのですが、今回アドレナリンについて少しでもご理解頂けたなら、付き合い方に注意することは可能だと思います。
皆様の生活にアドレナリンに関するこの記事がお役に立てれば幸いです。